『星の声を聴く子ども』備忘録

 発行から三か月ほど経ってしまいましたが、11月の文フリで出した新刊『星の声を聴く子ども』について備忘録など……。

 2014年に書いた『星々の奏でる音楽と猫』が膨らみに膨らんでできた本で、結局十万字をこえてしまいました。増えれば増えるものですね。短いお話が13篇なので、ボリュームが増えた感じはあまりしないのですけども……。


表紙について

 今回の本での一番のポイントは、表紙を外部委託したことです。(中身じゃないんかい)

 SKIMAというサービスを利用して表紙イラストの依頼をしました。イラストを受注してらっしゃる方のページをいくつか拝見して、作品のイメージに合うイラストを描いてらっしゃる方に依頼しました。

 本文ができる前の依頼だったので直接お見せできる作品が少ししかなく、代わりに説明を多めにさせていただきました。色味や季節、欲しいモチーフなどなど。印刷物に慣れていらっしゃらないとのことでしたので、トンボなどの説明もさせていただきました。

 「すぐ依頼できて、すぐ絵ができる」というものでは当然なく、ある程度作業全体の早い段階で依頼して良かったです。依頼内容をまとめるのにも時間がかかりますし、私はメッセージを書くのに少し気力を使いすぎてしまうところもあり、精神的に余裕がないと無理だったなと。絵が出来上がるといよいよ作らないわけにはいかないぞ、となりますしね……(笑)。


細かいポイントについて

 星の名前は全部実在の名前にしてあります。TRAPPIST-1gもそうですね(今本文を見直したらハイフンが音引になっていてぎょっとしました)。

 ……全部地球が設定した名前なのかって言われたら困るんですが、それを言ったら方角が星座で表現されてるので、まあなんていうか、<双子>が地球人だからっていう感じですね……。

 基本的にハビタブルゾーンにしか行ってないので、<双子>の生命活動はそんなに問題ないんじゃないかなと思います。<姫君>や<海蛇>はハビタブルゾーンではないところ出身の人ですけど、詳しくは書けなかったなとか。<姫君>は割とちゃんとした服を着てるんですけど、あの人地元が暑いので民族衣装がかなり際どい衣装なんですけど、地球は寒いし常識も持ち合わせてるから学習して地球の服を着てくれてるんですよね……派手ですけど……っと話が脱線しました。

 

 かみのけ座の方角がはやってないのは、かみのけ座だからですね……。(?)

 

 星も花もですが、伝説よりは花言葉、星言葉でとっています。

 

 “僕”と“妹”の飲み物は意識してかぶらないようにしてますが、特に作中で何かあるわけではないフリでしたね……途中で設定的には逆だったな……とは思ったんですが、キャラ的には今のものなんで、まあ、こっちでいくか……と……。

 

 登場人物の望みを矢印で書いていくと見事にばらんばらんになるので、なんていうか、全体的にかわいそうだと思います……こんな創造主でごめんね。(…)


各話についてのアレコレ 

1)Prologue

 プロローグは書いておかないとな、と(笑)。

 何も起きないプロローグです。というか、プロローグは何も起きないものですね。

 現状説明と、何をしているかの軽い説明です。

 

2)星々の奏でる音楽と猫

 一番初めに書いた話。かなり加筆修正しています。

 初めに出したときは時間があまりなかったのもあり、頭の中の設定をちゃんと書ききれてないというか、説明できていなかった状態でした。この後実はいくつかバージョンがありまして、サイトにあるものを含めて、表に出していないものなど微調整だけで数パターンあるのですが、ようやく最終版(笑)という感じです。

 なるべく初めの時の文を残したまま、設定を変えたり加えたりしています。

 そうそう、本の最後のほうに出てくる<双子>のアレですが、この段階で既にあった設定なので、初出の段階で結構その辺気にして書いてました。具体的には、ある言葉と対になるはずの言葉が一切出てきません。裏設定のまま終わらなくてほっとしています……(笑)。

 

3)ラナンキュラスの別れ

 当初、書くつもりがなかった話。最後の最後のぎりぎりで追加した話です。なのである意味一番設定が固まった状態で書かれているため、全体で言うとかなり均された感じの話です。

 <蛇遣い>は名前だけ出てくる予定だったのですが、八割がたできたときに改めて全体を見直して、やはり出てきた方がいいなと判断して追加しました。

 そういうわけで、伏線なども少ない話です。ラナンキュラスについては、あとからプロローグに書き加えたので、本当に本当に最後に書き始めたことがわかります。

 この話と『ゼータ・エーリダニの嘘』を見直していただければ、何故“僕”が“僕”なのか、少しわかるような気がするかもしれません。そして、ちょっとだけ最後のニュアンスが変わるかもしれません。


4)星の子かくれんぼ

 発表順としては二番目の話。<王子様>登場回。

 この時のポエムも、最後のほうになると「呪文詠唱略!」みたいになっている、というわけです。(?

 

5)宙にひびく星のおしゃべり

 <双子>だけで話を進めるよりは、傍から見たらどう見えるのか、を書いたほうが良いと判断して書いた話。なので、警部殿は<調律師>ではありません。発表作としては三作目にあたるため、この段階で既に話のラストは決まっていたり、全体の構成を考えていたことになります。

 <調律師>からすれば自分たちの行動は科学に基づいているけれど、傍から見たら魔法以外の何者でもないよな、という話。

 そうそう、途中の「<王子様>にでもやらせればよいだろう」は「ご満足だろうさ(できないけど)」です。ふざけてますねこの人たち。いや、確かこれの初出時はその設定はなかったですね。整理していったらそういう設定になりました。語り口も似てるし。(?)


6)ステュクスのうさぎ

 季節行事みたいなことを書きたいなと思ったので書きました。なので全体からいうと中盤過ぎに書き始めた感じです。

 季節行事が先に来てるので後半がふわふわしてますね……(笑)。認めてない科学者も欲しいな回でもあります。


7)屋敷の残響

 音を<調律>できるってことは、悪用もできるんじゃない?っていう話。

 こちらが先にあったので、『ラナンキュラス』の花はこの設定に合わせて書いた……んですが……情報を出す順番が違いますね……うーん。まあ、いいでしょう(おい)。

 これは割と早い段階で書いた記憶があります。これはEpilogueと対みたいなものですね。

 なんだかよくわからない石の話とか、猫の話とかばっかりだったので、もうちょっと具体的な話にしようかなと思ったりとか、そういうのもあります。

 一人称が揺れてるのは単に心うちの言葉と外に出す言葉の違いくらいなものです。あと、基本的に信用のならない存在なので。


8)ゼータ・エーリダニの嘘

 タイトルを決めるのに苦労しました(笑)。「依存しがちな社交性」。

 <海蛇>は割と早い段階から名前だけ出ていましたね。本になると、書くつもりのなかった<蛇遣い>の方が先に出てきてしまいましたが(笑)。

 この話はわりとずっと書いてました。『星の声を聴く子ども』が出るのにもう少し時間がかかっていた場合、シングルカット(?)として同人誌になるのはこの話だったはずです。間延びする話し方はやりすぎじゃないかとか、どこを間延びさせるかとか、そんなことを考えていました。ここで割と納得したので、キャラクター小説方面に振る気になったところはあります。

 <海蛇>はそんなに悪い人じゃないとは思います。あと、多分、地球の人間より長命だと思います。割とまじめな性格だけれど社会性がある性格でもないので、将来的には何でも屋さんとか、探偵とか、なんかそういう感じになると思います。<双子>とも長い縁になることでしょう。


9)憂鬱なペンギン

 タイトルで死ぬほど苦労しました。だってこれ、とある洋書のタイトルそっくりじゃないですか。(…)

 <姫君>は割と本文中に出すつもりだったんですが、罵詈雑言の語彙がなかったためにいまいち出すことができませんでした(笑)。冒頭だけは割と早い段階からあったんですが、形にならないならない(笑)。そうそう、途中まで<姫君>と<お姫様>で表記ゆれもありましたね……いまだにどっちだったかわからなくなったりします。(こら

 「理由はないけどとにかく嫌いな人」って現実にはいるけど書くのが難しいなと。文字にすると何らかの理由が欲しくなってしまいますね。全体を見渡してみると出すつもりのなかった<蛇遣い>の方がしっかりとした登場人物感がありますね……うーん。

 <姫君>が“僕”のことに気づいているかどうかは微妙なラインだと思っています。少なくとも<姫君>は“妹”は明確に嫌いですが、“僕”個人となると多分<双子>というペアでしか認識してないので。気づいているならもうちょっと“僕”が嫌いなんじゃないかなと思います。主に『未来の約束』的な意味で。


10)<双子>について

 証言みたいなものをまとめておこうと思いました。誰が見ているのか、誰が集めているのか、というのも含めて。

 <天秤>は二人で話しているのもあり、思いのほかおしゃべりなのもあり、長くなってしまいました。

 これも中盤くらいに書きましたが、セリフだけなのでかなりするっと書いてしまった記憶があります。

 できるならもうちょっと「こいつ本文にいなかっただろ!」みたいな人の証言も入れたかったんですけど……そこまではちょっと手が回りませんでした。


11)秋の日の寂寞

 お姉さんですが、お姉さんもそんなに悪い人じゃないと思います。元<調律師>ですしね、色々わかることもあるでしょう。ただまあ、仕事と、個人的な感情はまた別ですよねっと。少なくとも、お姉さんはどちらかを選ぶ以外なかったし、実際選んでみせましたよっと。

 これもたしか中盤くらいに書いたような気がします。タイトルは最後のほうまで決まりませんでしたけど……。


12)未来の約束

 微妙なラインですよね、微妙な。

 私はこれを友情だとは思っていませんよ。と、いうか、書いたり直したりしている間に随分と友情を逸脱してしまいましたね。なんでや。

 うちの子にしてはがんばったんじゃないですかね、<王子様>。相手が相手だったのでなんていうか、かわいそうに。


13)北の休暇

 どんなに常識的な顔をしてたって、結局<王子様>も<調律師>なんだなあと。

 絵にすると大柄の男二人がそそれぞれ寝椅子に寝転がってぼそぼそしゃべってる、しかも一人はほとんど独り言という状態なので、バランスがめちゃくちゃになりかけたり、ほどほどになったり、調整がややこしかった記憶があります。

 <姫君>について、"僕"の<王子様>とそんなに仲良くなさそうという証言と、“妹”と相性が悪いという証言くらいしかないのでなんですが、仲良くないはずの人にわざわざ絵葉書を送って遊びに来いというのは、まあ、そういうことです。妹につっかかっていくのもそういう部分も含まれているかと思いますが、つっかかるのはそっちじゃないよっと。あと多分<姫君>が送ってきた絵葉書は、地球人基準だとかなりセクシーショットだと思います。<姫君>もかわいそうに。


14)Epilogue

 ちゃんとPrologueと対になっています。なっているのか?

 最後。ラストシーンはこれしかないと思っていましたので、シリーズになった瞬間からここの向かって書いていました。ただかなり当初の想定からかなりニュアンスが変わっています。予想以上に“僕”が人間性と社会性を獲得してしまったので……。これ、“妹”は当初の想定と同じニュアンスのままなんですけどね……一人称だから……。『未来の約束』がなければあるいは当初のニュアンスのままだったのでは、とは思います。

 そうそう、ぎりぎりまでソファをどうするか迷ったんですが(笑)、ああいうことになりました。

 


 というわけで、振り返りでした。

 あとがきに書いた通り、<双子>の話はこれで終わりです。<双子>はもう葛藤する存在ではなくなったのでもう主役はやれません。(一貫して妹の一人称がないのはそういうことですね)

 この先を書くとしたら葛藤する人物は<王子様>になるでしょうが……うーん、<海蛇>と喧嘩するだけでしょうね。<双子>も多分、<王子様>には頼らないけれど<海蛇>には頼るでしょうから、いやあ、喧嘩するでしょうねえ。

 多少、「ばかもん、そいつがルパンだー!」みたいなことは書きたい気持ちもあるんですが(笑)、落としどころがないというか、そこまで書いてしまったらもう、完全に『xxxHoLic』(主に籠以降)だよねって感じなので……(笑)。

 

 この間ふと思ったのですが、<双子>はもう<調律師>ではなくなったので、改めて何か肩書を付けるなら<指揮者>になったのかもしれませんね。興行主に会ったことのない<指揮者>ですけど。

 

 以上、備忘録でした。何か思い出したら追記します。